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2021.09.02

巨大な"AI/IoTの計算エンジン"を北陸から。デジタル社会の未来を見据えたハイレゾの挑戦とは。/プロジェクトSDGs ×「Innovation LAB」第3回

AIやIoTの普及で私たちの生活はより便利なものになっていますが、日々発生する膨大な量のビッグデータはどこで、どのように処理されているのでしょうか。この見落とされがちな問題に取り組むために、AI/IoT向けの計算インフラを提供しているのがハイレゾです。 大量のデータを高速に計算処理することができる「GPU」という装置を用いた専用設備・システムを国内最大規模で展開しており、そのインフラを利用している企業にとってはまさに、AI/IoTサービスの開発、提供に欠かせない“原動力”と言えるでしょう。 プロジェクトSDGs ×「Innovation LAB」特集企画の第3回となる今回は、株式会社ハイレゾの創業者兼代表取締役である志倉 喜幸氏にソトコトNEWSプロデューサーの飯野がお話を聞きました。

グラフィック・AI開発に役立つGPUデータセンター事業へ

飯野:学生起業家でいらしたそうですが、これまでどのような事業をなさってきたのですか?

志倉:もともと大学の情報科学科のプログラミングが得意なメンバーが集まって、アルバイト感覚で始めたのがきっかけでした。当時はiモード・iアプリが流行っていました。普通のJavaですけど特殊仕様があって、企業からプログラミングを受託すると単価が高かったのです。ライブドアの堀江さんの影響もあって、起業ブームに乗りました。その後、スマホ開発やソーシャルゲーム開発を手がけていくうちに、グラフィック開発が主力事業になりました。そこで、ハイスペックなグラフィック処理マシンが必要になったので、GPUサーバーを多く扱うようになったんですよ。
株式会社ハイレゾ創業者兼代表取締役 志倉 喜幸氏
飯野:GPUデータセンター事業には、どのようなきっかけで参入されたのですか?

志倉:ソーシャルゲームの1タイトルが、100億とか200億とか大規模開発に移行しだした時期で、我々をはじめ受託開発の会社は、利益率を下げないと仕事を受注できないという厳しい状況におかれていました。一方、外部のゲーム開発会社さんから「GPUサーバーを貸してほしい」と頼まれるケースはどんどん増えていきました。であれば、GPUサーバーの貸し出しを主力事業にしようと。当初は10台もない状況だったので、自社のサーバールームで始めました。年々、100台、200台…と数が増えていき、3〜4年前には本格的に大きな施設を埼玉・新座に作り、規模を拡大してきました。ところが、もっと大規模な施設が必要になってきたので、「日本で1番いい立地」にこだわり、結果として石川県に現在のGPUデータセンターを作ったのです。

GPUで『日本の計算インフラ』をつくる

飯野:GPUの特性でもある高い計算処理性能と、その力がもたらす新しい未来についてどうお考えでしょうか。

志倉:GPUは画像処理はもちろん、AIの学習や推論実行など、大量のデータ処理において圧倒的な性能があります。CPUで処理するよりも、より多くのデータ量をより高速に計算することができてコストパフォーマンスも高い。未来のテクノロジーに必須になる、よく出来たプロセッサ、そのようなイメージです。一方で、実際に大量の計算処理をどこ(のGPU)で処理していくのか、どういう風にやっていくのかについては、あまり議論されていません。議論してたどり着いたのではなく、なんとなく外資のメジャークラウドなどで処理すればいいのでは?という結論になっています。発展途上国で電気のインフラを整備して産業を発展させる、あるいはインターネットが整備されてIT産業が発展したイメージで、日本のGPU、言い換えれば『日本の計算インフラ』をしっかり整備して行くことで、日本のAI分野が発展することが理想です。日本にも高い技術はかなりありますから、将来的に海外の事業者に依存するのはあまり好ましくないなと考えています。
株式会社ハイレゾ創業者兼代表取締役 志倉 喜幸氏

高い計算力だけでなく、「消費電力を抑える」という発想へ

飯野:『日本の計算インフラ』をつくっていく上で、どのようなパートナーにアプローチされたのですか?

志倉:我々のパートナーで多いのは、大学とか研究機関ですね。例えば大学院大学のJAIST(北陸先端科学技術大学院大学)などいらっしゃいます。大学などは自分でプログラミング…ハードコーディングして作るので、純粋な演算力でコスパが高いものへの要望がメインです。スーパーコンピューターなどを商用利用に近づける。利用しやすくしていくのがテーマだと思っていますから、やはり大学や研究機関と連携することが多いですね。一般企業でも使いやすいUI/UXにしていくのが、今後の課題かなと思っています。また、電力会社もいらっしゃいまして、北陸電力には出資もいただいており、電気の技術的な相談をすることもあります。「SDGs」「グリーンIT」「脱炭素」が今注目されていますよね。いかに効率よく、エネルギーロス無く計算力に変えるか。これが今後のテーマになると思っています。いわゆる再生可能エネルギーだけでデータセンターを動かすと。なるべく消費電力を抑えることが大事だという考えです。本来100%の電力消費だったものを、60-70%ぐらいまで抑えることは実際に可能なのです。

地域との相互理解に根差すベストの立地選び

飯野:ところで、石川県とはどのような繋がりから始まったのですか?

志倉:僕の出身は東京ですので、石川県との繋がりはゼロベースから始まりました。GPU専用のデータセンター作りに向けて、まずはその要件を整理し土地を探しました。石川県の志賀町含めて全国で3つぐらいの土地に絞りまして、現地入りして視察した結果、最終的に志賀町さん側の受け入れ態勢が整っていたということが決め手となって選定しました。データセンター事業は箱モノ系なので、やはり地元から歓迎されて建てるのがベストだと思っています。その実、石川県庁や志賀町の町役場に連絡してご理解いただけるまで、1年半~2年ぐらいかけて事業説明をしましたね。志賀町は、他の地域と比べて聞いていただける土台があったのが大きいです。
能登中核工業団地
飯野:なるほど。いろいろな壁があったと思いますが、うまくいった要因はなんだとお考えですか?

志倉:言葉ではなく、訪問する回数ですね。志賀町の状況も考慮して、僕自身も企画、事業のデザイン自体を変えるなど、そういう歩み寄りの結果だと思います。志賀町は過疎指定されているため、なんとか人口が減る現状を改善したいという思いが町にあってですね。新しい産業を望まれているのは感じていました。実際に「新しい産業かつ地域の方々を雇用の受け皿になる事業がベスト」という回答をいただき、それを実現しつつ今に至ります。
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