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2021.08.31

世界をユカイに。周りが元気になれるロボットづくりを目指すユカイ工学株式会社/プロジェクトSDGs ×「Innovation LAB」第2回

コミュニケーションロボットや自由に試行錯誤しながら形にできるロボットキットなど、楽しい気持ちになれるロボットを生み出すユカイ工学。ユカイでかわいいロボットたちが、世の中に浸透しやすい仕組みづくりにも取り組んでいます。どのようにして様々なヒット商品を生み出しているのか。今回はユカイ工学株式会社 代表 青木 俊介氏に、エモーショナルなロボット開発や未来の姿についてソトコトNEWSプロデューサーの飯野がお話を聞きました。

ユカイ工学のビジョン「ロボティクスで、世界をユカイに。」

飯野:ユカイ工学とはどのような会社なのか、簡単にご紹介いただければと思います。

青木:ユカイ工学は、デザイナーとエンジニアを中心に「ロボティクスで、世界をユカイに。」しようというビジョンを掲げています。使っている人が思わずニヤリとしてしまうような、人をユカイにする製品の企画開発から販売まで手がけており、自分たちの製品はもちろん、いろいろな企業の製品開発にも協力しています。

飯野:バックグラウンドも含めて、青木さんがユカイ工学を立ち上げるまでのストーリーをお話いただけないでしょうか?

青木:20年ほど前になりますが、学生時代に起業したのがはじまりです。ソフトウエア開発やデジタルなインタラクティブ・アートの展示で知られるチームラボの創業メンバーで、7年間ほど技術の責任者CTOをやっておりました。当時はインターネット創成期でしたので、インターネットでなにか面白いことをやろうと。私自身、学生時代からバイトでいろんなホームページ作ったりプログラミングしたりしていたので、インターネットの面白さに夢中になっていたんです。もともと子どものときの夢がロボットを作ること。大人になってからもいつかロボットをつくりたいとぼんやり考え続けていたら、2005年の愛知万博でロボットがいくつか出展されていたのを見たんです。しかもそれは、ベンチャー企業が手がけたロボットたちでした。ロボットといえばホンダのASIMOだったりソニーのaiboだったり、大企業がつくるイメージを持っていたので、ベンチャー企業でもロボットをつくれるようになったことにびっくりしました。自分でもロボットづくりに関わる事業が可能なのでは?と、この頃から考え始めました。その後友人が立ち上げたpixivというイラストのSNSサービスに参加した後、2011年に独立してユカイ工学を運営しています。

エンパワーメントする力。伴走したり励ましたりする存在へ

飯野:チームラボもpixivも、今ではどちらも有名なすごく楽しい会社さんたちですよね。そこから今につながってるのかと背景をお伺いして感じました。冒頭でもお話しいただいた「ロボティクスで、世界をユカイに。」というビジョンには、どのような思いを込められたのですか?

青木:ありがとうございます。ユカイ工学の創業はCTOと私の二人で、行いました。二人ともジブリのアニメ映画とか、かわいいものが好きで。かわいいものが日常空間で動いていたらテンションが上がるよね、というシンプルな発想からスタートしたんです。そして2018年には、しっぽのついたクッション型セラピーロボットQooboが誕生しました。Qooboには動物のようなしっぽがあり、撫でると表情豊かにしっぽを振ってくれます。2021年には、BOCCO emoという、どこか懐かしい未来のファミリーロボットも開発しました。話しかけると独自言語のエモ語でリアクションしてくれたり、メッセージのやりとりができます。「薬、ちゃんと飲んでる?」のように、BOCCO emoが話しかけてくれる。高齢者に薬を飲んでもらうために、リマインダーの役割を果たすなどしています。最近では、ロボットには人をエンパワーメントする力があることが分かってきました。伴走してくれたり励ましたりしてくれる存在が近くにいると、人の行動を引き出せるんじゃないかなと。こういったことを、ロボットを通じて目指しています。
BOCCO emo
飯野:かわいい、あるいはユカイという感覚が、生活の中でロボットが浸透する魅力なんでしょうね。スタッフなども含めて皆さんからアイデアを募って、実際に商品化することが多いのでしょうか?

青木:そうですね。学生時代にロボコンに参加していたメンバーも多く、中には全国大会で優勝した経験もあるメンバーもいます。ロボットをつくりたい、という思いが強いメンバーばかりなので。エンジニアやデザイナー、職種に限らず、いろいろな視点で一緒にアイデアを出すと、新しいコンセプトが生まれやすいですね。
ユカイ工学の社内メンバー

“ライフスタイルで活用”されるロボットへの挑戦とは?

飯野:公式サイトで拝見したのですが、“ライフスタイルで活用”されるロボットへの挑戦とは、どのようなシチュエーションを想定されているのでしょうか?

青木:僕たちも試行錯誤を続けているところではあるのですが、僕たちのアプローチ法は、シンプルなプロダクトを世の中に出して、ユーザーさんと一緒に新しい使い方を模索する方法です。ユーザーさんのインタビューも頻繁に実施しています。例えばBOCCO emoは孤立しそうな人と家族をつなぐためによく利用いただいています。具体的には、1人暮らしの高齢者や共働き世帯の鍵っ子と呼ばれる子どもさんですね。孤独感を味わいやすいシチュエーションで、元気づけられるようなロボットができたらいいなぁと思い、実際にセコムさんと独居の高齢者にロボット経由で声掛けするサービスを提供させていただいています。人の声を聞く機会が少ない人たちに、声を届ける。これからもロボットを通じて、会話やコミュニケーションの手段を提供していきたいと思います。あと服薬の支援ですね。薬を飲み忘れないように、リマインダーの役割を担うなどしています。

飯野:面白いですね。ユカイなものだからこそ興味を持てるし、コミュニケーションも取れる。高齢化社会も含めた日本の課題を、ロボットが埋められるんじゃないかと思いますね。「ユカイな生きものロボットキット」も素晴らしい内容だと思っていて。「きみだけの生きものロボットをつくろう」という発想は素晴らしいですね。

青木:ロボコンの出身メンバーが多かったこともあって、NHKエンタープライズさんが小学生ロボコンを始めるときにキット開発のご依頼をいただいたんです。私たちが作ったキットのコンセプトは、正解がない。決まった作り方がないので自由に作れるし、自由に失敗もできる。失敗できるチャンスを提供する。これは、ずっとやりたいことでした。しかも自由に作ってもそれなりに動く点が、かなりポイントです。作る楽しさを覚え、自分の発想を形にする楽しさを経験してもらうことを目的にしています。キットを体験したお子さんたちが、ロボットを作る仕事がしたいって言ってくれることもあって、嬉しいですね。
ユカイ工学株式会社 代表 青木 俊介氏

課題のない時代に心への働きかけを重視するモノづくり

飯野:ユカイ工学は、スタッフをはじめとして、自分たちが「いいね」って思うものを作っている。今の時代に合った会社の考え方かなと思います。だからこそユニークで人の心に刺さるロボットたちが生まれているのではないでしょうか?

青木:ありがとうございます。今の時代、求められていると誰でも分かる課題が減っていて。全員に共通する課題もなかったり、そもそもスマホもコンビニもあるから困っていなかったり。企業の製品開発や量産をお手伝いさせていただく機会が多いのですが、課題を見つけるのが難しいとご相談を受けることが多いです。それに対して私たちは、自分の心が動く、自分たちがファーストユーザーになれるプロダクトをまず作るアプローチでお手伝いさせていただくことが多いですね。

飯野:素晴らしいですね。利益追求ではなくて、心が楽しくなるようなモノづくりが、今後は必要なのかなと思いますね。

青木:もちろん効率化できればいいことはあると思いますが、実際には効率化はそんなに求められていないと。ウェルビーイングや自分らしく生きるといった、情緒的な価値が課題としては大きくなっているかなと感じています。従業員が幸せを感じる企業のほうが、事業的にもうまくいっている。そのような研究もあったりして、ウェルビーイングが世の中的にも重要だという意識は、急速に広がっているように感じています。
ユカイ工学株式会社 代表 青木 俊介氏
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