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2021.07.13

サステナブルな次世代コンクリート製品の量産化技術を確立

鉄筋コンクリート構造部材としての活用に期待

ポイント

・70%のCO2排出量削減が可能な次世代コンクリート製品の量産化技術を確立
・60N/mm2以上の高い強度と酸劣化環境での高耐久性を実現
・国内最大規模の構造実験により鉄筋コンクリート部材としてのポテンシャルを証明

概要

 一般財団法人電力中央研究所(本部:東京都千代田区、理事長:松浦昌則)の山本武志上席研究員、菊地道生主任研究員、柴山淳主任研究員らの研究グループは、脱炭素社会の実現に向け、中川ヒューム管工業株式会社および一般財団法人石炭フロンティア機構と共同で、従来のセメントを用いるコンクリートに比べ、CO2排出量を約70%削減できる次世代コンクリート「EeTAFCON(イータフコン)」を開発しました。EeTAFCONは、セメントを使用せずフライアッシュ※1や高炉スラグ微粉末※2等の産業副産物を原料とするため、サステナビリティに優れるコンクリートです。これをプレキャスト製品※3として実用化するため、工場設備規模に合わせた製造技術の最適化を図り、製品量産化技術を確立しました。また、マンホール等のプレキャスト製品を各種環境下に施工し、従来のコンクリートでは劣化が問題となる下水道において、高い耐久性を示すことを実証しました。さらに、構造部材への適用を目指し、鉄筋コンクリート製試験体の構造実験を実施しました。その結果、曲げおよびせん断強度※4が従来のコンクリートと遜色ないことを明らかにし、構造部材への活用に見込みをつけました。

1.研究の背景・目的

 セメントは、社会インフラの構築に不可欠なコンクリートの主原料として、世界の近代化を担ってきた材料です。しかしながら、その製造過程において多量のCO2を排出するという問題を抱えています。このため、CO2排出量が多い従来のセメントコンクリートに替わる、低炭素なコンクリートの開発が求められています。
 一般財団法人電力中央研究所と中川ヒューム管工業株式会社、および一般財団法人石炭フロンティア機構の研究グループ(以下、当研究グループ)は、セメントを使用せず、その代替にフライアッシュ等数種の産業副産物を使用することによって、従来のセメントコンクリートに比べCO2排出量を約70%削減する次世代コンクリート「EeTAFCON」を開発しました。このEeTAFCONを様々なプレキャスト製品として実用化するため、製品量産化技術の確立、製品の実用性実証、鉄筋コンクリート部材としての構造性能の検証に取り組みました。

2.研究手法・成果の特長

①次世代コンクリート「EeTAFCON」の開発
 EeTAFCONは、アルカリ活性化材料※5の製造技術を応用し、フライアッシュや高炉スラグ微粉末等の産業副産物をアルカリ水溶液と練り混ぜ、蒸気養生※6によって製造するコンクリートです。
 従来のセメントコンクリート1m3の製造に係わるCO2排出量が320kg程度であるのに対して、EeTAFCONは90kg程度と約70%のCO2削減が可能です。また、フライアッシュや高炉スラグ微粉末等の副産物を、1m3当たり500kg以上も利用することができます。EeTAFCONは、CO2削減のみならず副産物の有効利用にも貢献するサステナブルなコンクリートです。
図1 次世代コンクリート「EeTAFCON」の製造方法

図1 次世代コンクリート「EeTAFCON」の製造方法

②製品量産化技術の確立
 工場におけるコンクリートミキサーや蒸気養生設備の仕様やサイズ等に合わせ、研究室レベルで構築したEeTAFCON製造技術を最適化することで、既設の工場設備を活用した製品量産化が可能になりました。また、建築基準法が定めるコンクリート圧縮強度の最低基準である12N/mm2を大きく上回る、60N/mm2以上の高い強度が確保できたことから、様々な構造物に利用可能と判断できました。
図2 工場におけるEeTAFCON製プレキャスト製品の製造風景

図2 工場におけるEeTAFCON製プレキャスト製品の製造風景

③製品の実用性実証
 工場で製造した各種プレキャスト製品を一般環境、寒冷環境、酸劣化環境※7に施工し、2年間にわたり施工後の外観や強度の変化をモニタリングしました。全ての施工箇所において外観変状や強度低下を生じず、製品として十分な耐久性が認められたことから、実用性が実証できました。特に酸劣化環境である下水道で、従来のセメントコンクリート製品に比べ高い耐久性が認められました。
図3 これまでに施工したEeTAFCON製プレキャスト製品

図3 これまでに施工したEeTAFCON製プレキャスト製品

④鉄筋コンクリート部材としての構造性能の検証
 梁や柱といった構造部材にEeTAFCONを活用するには、鉄筋コンクリート部材としての構造性能を検証する必要があります。当研究グループは、実構造物の1/2~1/3程度の寸法の鉄筋コンクリート梁を約40体作製し、構造性能を試験検証しました。これは、アルカリ活性化材料でつくる鉄筋コンクリート部材の試験として、国内最大規模です。本検証によって、EeTAFCONでつくる鉄筋コンクリート部材は、構造設計上重要となる曲げ強度およびせん断強度が、セメントでつくる従来の鉄筋コンクリート部材と遜色なく、構造部材として十分に活用できることを証明しました。
図4 EeTAFCON製鉄筋コンクリート梁の構造実験

図4 EeTAFCON製鉄筋コンクリート梁の構造実験

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