NEWS

一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォ―ム 地域社会と教育現場をつなぐ、人材・体制と地域みらい留学で人口減少の緩和に

2022.03.13

高校と地域の協働が生徒の資質能力の向上と人口減少の緩和に効果

社会に開かれた魅力ある教育環境の実現を目指す一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム(所在地:島根県松江市、代表理事:岩本 悠)は、経年比較調査を通じて、地域との協働による高校教育改革が生徒の資質・能力の向上、及び人口減少の緩和につながること、また学びの土壌(学習環境)を豊かにするために必要な要因を明らかにしました。

本調査は、地域・社会との協働による魅力ある高校づくり(以下、高校魅力化)の効果を検証する目的で、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長:池田雅一)と共同で実施されました。このたび、3つの調査結果がまとまりましたのでお知らせいたします。

高校生が地域に出てフィールドワークする様子(島根県雲南市内)

高校生が地域に出てフィールドワークする様子(島根県雲南市内)

■本調査の位置付けと意義〜なぜ今、魅力ある高校づくりが必要なのか〜

弊財団では2017年から、全国で多様な文化や価値観を持った生徒同士の交流を促進する「地域みらい留学」の導入を推進するなど、魅力ある高校づくりを支援してきました。
2019年11月に発表した前回の調査(※1)では、魅力ある高校づくりを全国に先駆けて行ってきた島根県の高校を事例とした調査で、高校魅力化により地域の総人口は5%超増加し、地域消費額は約3億円増加、歳入も約1.5億円増加することが判明しました。前回からの継続的な調査結果に加えて、2019年以降3年間の経年調査により新たに判明した高校魅力化の教育的効果についてご報告いたします。

日本の高校教育は現在、大きな転換期を迎えています。2022年4月から高校の学習指導要領の改訂や、「新時代に対応した高等学校教育に関する制度改正」をもとに、「高校教育改革」が本格化します。新しい学習指導要領では、持続可能な社会の創り手となる資質・能力を育むことが求められており、その実現のためには地域・社会と高校が協働し魅力ある教育環境を構築することが重要です。

(※1)前回の調査はこちら https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000035136.html


■調査結果の概要

1.  高校存続が人口減少の緩和に寄与〜魅力的な高校の存在が、高校生以外の転出抑制や転入増加も促す〜

全国の高校統廃合と人口動態との関係性について、高校消滅群、高校存続群に加えて、高校魅力化に取り組んでいる「地域みらい留学校群」との比較もふまえて考察を試みた。その結果「地域みらい留学」は、高校生の転入だけを誘発するものではなく、魅力的な高校が立地していることによる中学生以下のいる世帯の転出抑制や転入増加といった形で人口動態に影響を及ぼす可能性を示唆した。

図表1 各市町村の15-17歳人口減少率(2000年比:左、2015年比:右)
出所)国勢調査(各年)より三菱UFJリサーチ&コンサルティング社作成

出所)国勢調査(各年)より三菱UFJリサーチ&コンサルティング社作成

・高校存続群においては、高校生世代(15-17歳人口)の減少が緩やかである傾向が、前回の調査に続いて確認された。

・今回実施した調査では高校存続群のうち、地方創生の観点から高校の魅力化に取り組んでいる高校(市町村)として「地域みらい留学」参加校を抽出。これを「地域みらい留学校群」として、高校存続群全体との人口動態の比較を行ったところ、地域みらい留学校群では、2015年から2020年にかけての高校生世代減少率が高校存続群全体に比べて緩やかだった。

・15歳未満人口においても、2015年から2020年にかけての減少率は、高校存続群全体よりも地域みらい留学校群において緩和されている傾向がみられた。
<調査1:【政策研究レポート】高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察② ~市町村の人口動態からみた高校存続・魅力化のインパクト~より https://www.murc.jp/report/rc/policy_rearch/politics/seiken_220310_1/

2.  高校と地域の協働が生徒の資質・能力の向上をもたらす

島根県(※2)における「高校魅力化評価システム(※3)」のデータを用い、2019年から2021年までの3年間の結果の推移や、学習活動や学びの土壌(※4)が生徒の資質・能力に及ぼす影響について分析を行った。加えて、特に学びの土壌を豊かにする要因について、体制構築や人材配置といった島根県の教育魅力化の取組との関連分析によって検討を試みた。

(※2)島根県においては、地域社会と学校が協働した「魅力ある高校づくり」を推進しており、地域一丸となった豊かな教育環境づくりに力を入れている。同県は「高校魅力化評価システム」を全県立高校38校に導入し、教育委員会としての施策評価や各校の目標設定、実践の振り返りに継続的に活用している。

(※3)高校魅力化評価システム(※5)とは、高校魅力化が各校の学習環境や生徒の資質・能力にどのような影響をもたらしているかを、定量的に可視化するための評価ツールで、現在全国186校で導入されている。生徒及び大人(教職員、高校に関わる地域の大人)に対するアンケート調査を実施するもので、調査内容は「①学習活動」「②学習環境」「③能力認識」「④行動実績」「⑤満足度」の5つのパートに分かれている。

(※4)高校魅力化評価システムで指標の一つとしている学習環境とは、生徒の周囲(高校や地域社会)の人との関係性や機会、雰囲気といったことを指し、これらを生徒の成長の土台となる要素(=「学びの土壌」)であるとして重視している。

(※5)高校魅力化評価システムの導入に関してはこちら https://www.murc.jp/sp/2107/miryokuka/

図表2 「高校魅力化評価システム」の質問構成要素
出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング社作成

出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング社作成



(1)高校魅力化によって、生徒の資質・能力が向上
・島根県の3年間の結果の推移をみると、「高校魅力化評価システム」の核となる4つの項目(学習活動、学習環境、生徒の能力認識、生徒の行動実績)について、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた項目以外、いずれも堅調に上昇傾向となった。

(2)「学びの土壌」の改善が、生徒の資質・能力の向上に寄与
・インプット指標である「学習活動」や「学びの土壌」が豊かな学校ほど、アウトプット指標である生徒の資質・能力(「生徒の能力認識」及び「生徒の行動実績」)を高めるという関係性がみられた。

・「学習活動」や「学びの土壌」の豊かさが高まるほど、生徒の資質・能力も高まるという分析結果も得られた。


(3)学びの土壌を豊かにするためには、体制構築とコーディネーターの配置が有効
・「学びの土壌」を豊かにするために有効な要素を分析したところ、地域との協働体制(コンソーシアム)を構築している学校や、教員以外のスタッフ(コーディネーター等)を配置している学校では、そうでない学校と比べ、学びの土壌が豊かである(生徒の学びの土壌に対する評価が良い)という結果が得られた。

・地域との協働体制は構築するだけではなく、それを適切に機能させるマネジメント的役割を担うコーディネーターが配置されていることが重要であるとの示唆も得られた。
26 件
〈 1 / 2 〉

RECOMMEND

Tags

トップへ戻る