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トリップアドバイザー「ウィズ・ポストコロナ時代の日本の旅行業」旅行再開に向けた、旅行需要回復の兆し、消費者動向など旅行復活の展望に注目!

世界最大の旅行プラットフォーム「Tripadvisor®」(トリップアドバイザー、本社:マサチューセッツ州ニーダム、NASDAQ:TRIP、CEO:ステファン・カウファー、日本語版サイト: www.tripadvisor.jp) は、観光行政関係者、自治体、地域づくり法人(DMO)、旅行会社等観光事業者を対象にオンラインセミナー「The Future of Japan Tourism ~ウィズ・ポストコロナ時代の日本の旅行業~」を2022年3月15日(火)に開催いたしました。

旅行再開に向けた旅行需要回復の兆し、消費者動向の行方など海外・国内の旅行動向を読み解くため、日本の旅行業界を代表する方々にご登壇をいただきました。当日、講演者が発表した興味深いインサイトや動向をご紹介いたします。


■旅行・観光事業における最新のトレンドおよびその意味合い
 マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー 久家 紀子氏、スティーブ・サクソン氏


旅行需要の見込みにおいては、航空需要の回復が重要なカギとなり、2022年2月時点の推計では、2023年末までに需要は回復すると見られています。中でも、レジャー需要が最初に回復する見込みです。日本における回復を旅行費用の観点から見ますと、国内、インバウンド、アウトバウンドにおいては、国内のレジャーが一番に牽引し早期に回復することを予測しています。今回の危機との単純比較は難しいものの、政治混乱、自然災害、伝染病といった外部要因による旅行需要の影響と回復に要する時間について過去に行った調査では、回復までに平均15〜30ヵ月を要するという結果もあります。

中国は、インバウンドにおいて一番重要な市場でありますが、厳しい渡航制限があり、海外旅行需要の完全な回復には当分時間がかかる見通しです。しかしながら、海外旅行をしたいという意欲は、コロナ禍でますます高まっており、マッキンゼーの調査によると、2020年5月に海外旅行をしたいという人の割合は25%でしたが、2021年10月には、42%まで回復しています。中でも、日本は渡航先として最も人気を集めている国の一つです。中国の消費者の関心はコロナ禍で、「自然・アウトドア」、「文化・歴史」といった体験にあり、「観光名所訪問」や「買い物」といった項目は、コロナ禍で低迷したことが大きな変化です。また、SNSにおいて、動画コンテンツの充実や新しいSNS群のカバーなど、消費者と効果的なエンゲージメントを持つための多方面・重層的なアプローチがカギとなります。

マッキンゼーによる2021年10月の調査では、日本人消費者の収入、支出、貯蓄行動においては、パンデミックの影響が徐々に薄らいでゆく兆しが示唆されています。経済回復に対しての前向きな見通しをたてる消費者が増加し、2-3ヵ月以内に経済回復すると回答した「楽観的」な層は14%でした。一方、6-12ヵ月以上影響を受けるという見通しの「中間層」は65%と最も多く、他国と比較しても日本は、中間層が最も高い割合となっています。コロナ収束後の消費者の消費意欲において旅行は、最大の消費カテゴリーとなっており、なかでも飛行機での旅行、アドベンチャーツアー等の旅行消費意欲が高い傾向です。世代別では、X世代、シニア世代において旅行支出をしたいという強い意向が見られます。

旅行業再開にあたっては、政府・自治体の役割と民間が共に取り組むことも効果的です。例えば、過去の危機において、シンガポール、マレーシアといった国々では、旅行需要が戻らない中でも、観光業界全体のスキルアップを図るために、バーチャルトレーニングの提供、トレーニング費用支給といったことを行っています。

また、消費者の行動変化は、コロナ禍を経て加速しています。企業は、予約プラットフォームをはじめ最新テクノロジーへの投資をコロナ前より積極的に行っていますが、旅行体験においても、AIを活用したパーソナライズ、バーティカル型の予約プラットフォームなど、今までにないスタイルが一層増えてきています。衛生管理面は、柔軟性が必要です。また、渡航規制によってバーチャルツアー、バーチャルイベントを積極的に活用し、将来につなげる動きもコロナ禍で増えました。

今後に向けて、旅行需要の回復に向けた備えや準備では、先手を打つことが重要です。いつ回復するのか先が読めない中においても、その需要の兆しをキャッチし、その情報を集約・収集し、経営層に伝え、すぐに経営判断を行えるような体制作りが必要です。また、新たな目を持つ消費者(新たな経験、テクノロジーの体験)に対応できるスピード、その高速の動きを実現するための人的生産性の向上が企業の実行力として重要な要素です。


■ポストコロナの日本のインバウンド観光
  独立行政法人国際観光振興機構 理事長代理 吉田 晶子氏


2013年以降、訪日外国人数は、政府によるビザ緩和、航空ネットワークの発展によって記録的な飛躍を遂げました。それが2020年3月以降の水際規制の導入によって一気に減少しました。インバウンド観光の復活には、発症国、受け入れ国両方での水際規制が大きく影響します。2022年3月以降は、入国規制の緩和、ビジネスにおける新規入国が始まったものの、訪日外国人への入国規制、航空機の到着空港の限定、1日の入国者数制限が続いています。インバウンド観光の主要市場諸外国においては、帰国後の隔離期間について継続して厳しい規制のある国・地域と規制緩和している国と二極化しています。2019年における日本への訪日外国人シェアは、東アジア(約7割)、東南アジア(約1割)、欧米豪(約1割)の割合でしたが、約7割を占めた東アジア地域において厳しい水際規制がとられていることに留意が必要です。

インバウンドの段階的な再開においては、①「国内観光の復活」、②「相手国の感染状況、入国管理状況をふまえた段階的なインバウンド復活」、③「水際規制により制限されている航空ネットワーク回復」の3つのステップとなるでしょう。当面は、「量」ではなく、「質」を求める観光が必要と考えます。国際的な流れとしては、持続可能な観光、サステナブル・ツーリズムが注目されています。
これには、①観光開発における商業主義の搾取から地域の環境や文化を守る、②観光を通じた経済効果によって地域の環境と文化、そして地域コミュニティを継承する、という2つの意味がありますが、これらを実現することによって、滞在型、体験型の観光を通じた持続可能な地域振興が可能となります。

コロナ前のインバウンド観光を振り返ると、2019年当時、訪日外国人が訪問していたのは、空港のある大都市圏を起点とした、東京、大阪、京都のゴールデンルートを中心にそこから派生した場所を訪問するケースが多い傾向でした。
ポストコロナのインバウンド観光において、地域に観光による利益をもたらすためには大都市型だけではない旅行消費が必要です。そこで注目したいのが、アドベンチャートラベル(自然を楽しむ、自然を体験する、文化体験を組み込んだ観光形態のこと)です。近年人気が高まり、消費額も高く期待されている旅行カテゴリーです。2023年には北海道でATWSが開催され、多数の旅行会社やメディアが日本を訪問し、大会前後に日本国中プレスツアーなどが実施される予定です。

また、質を高め消費単価を上げるという点でポストコロナのツーリズムにおいて、高付加価値旅行(ラグジュアリートラベルマーケット)における誘客拡大が重要となります。旅行者1人あたりの消費額をあげていくために、日本政府は、高付加価値旅行への注力も行っています。その中で、日本の高付加価値旅行市場において改善が求められる5つのポイントがあります。
1.  ニーズや期待を満たす質の高い宿泊施設の整備
2.  高付加価値旅行市場の顧客が満足する観光体験と観光商品の提供
3.  柔軟で洗練されたサービス&スムーズで質の高い交通手段
4.  高付加価値旅行市場におけるエコシステムの構築
5.  高付加価値旅行先としての日本のブランディングと集中的なマーケティング


施設面においては、日本の5つ星ホテルは、東京、大阪、京都に集中し偏りがある一方、スペインやタイにおいては、大都市以外の地方にもハイグレードな宿泊施設が整備されているため、地方においても高付加価値旅行市場が成り立っています。
JNTOロサンゼルス事務所が実施した高付加価値旅行市場に関する調査では、2つの傾向がありました。

1. コロナ前と比べ、より長期間でよりお金をかけた旅行となる傾向
1度の旅行で長期滞在となるので、個々の施設ではなくルート「線」やエリア「面」でのプロモーションが重要。出入国可能な空港が限られるため、到着空港からどのようなルートで回るかを検討する必要がある。
2. コロナ後は、感染リスク軽減のため、親しい間柄(家族、友人)とのプライベート旅行が増加する傾向

基本的な感染症対策を含む安全性はもはや標準装備、よりプライベート感・エクスクルーシブ感の演出が必要です。今後の旅の目的については、欧米旅行者は、買い物ではなく、体験、経験を重視しています。心身両面での健康意識の高まりから、スポーツやウェルビーイングがキーワードとなり、かつ、世界の旅行者が日本に求める、日本的なものを提供することが重要です。JNTOでは、欧米での富裕旅行商談会への出展、国内でも海外から旅行会社を招致し富裕旅行商談会の実施、テーマ別プロモーションに向けたコンテンツ収集、ツール制作・拡充、デジタルマーケティングを活用した情報発信を行っています。また、より広く世界各国から質の高い旅行者を求めるため、高付加価値市場を念頭に2021年11月、中東のドバイ、中米のメキシコに事務所を設立し、ネットワークを広げています。


■世界・日本の旅行トレンド・インサイト
  トリップアドバイザー株式会社 アカウントエグゼクティブ 中川 聡美


トリップアドバイザーは、月間4億2千万セッション、43の国・地域において22の言語でサービスを展開、10億の口コミや意見を保有しています。トリップアドバイザーのサイトを訪れるユーザーの検索、予約、閲覧ページなどサイト上での行動をデータ化し、旅行に関するトレンドやインサイトを分析しています。このようなデータベース、ユーザーへのアンケート調査をもとに、世界、日本の旅行トレンド・インサイトについて紹介します。

トリップアドバイザーのホテル予約ページを渡航意欲の指標としてとらえると、2021年4-5月は、ワクチン接種普及により、世界中で旅行意欲が加速したものの、8月以降デルタ株、11月以降オミクロン株の蔓延によって、旅行意欲は季節的な要因を超えて低下しました。

世界の旅行者が検索した人気旅行先によると、日本は、2019年1月に5位だったものの、2022年1月は12位となりました(トリップアドバイザーサイト国別閲覧数[1]より)。これは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑制するために日本政府によって施行された旅行制限による影響です。今後渡航制限の緩和と共に、この需要は徐々に戻ってくることが予測されます。
昨年12月と今年1月で比較した旅行者の来訪意欲の上昇率が高い国は、世界的には、①アイルランド、②イギリス、③ノルウェーとEU諸国が続き、アジア太平洋地域では①オーストラリア、②ニューカレドニア、③クックアイランドが続きます。(各国のホテル予約ページクリック数より)

パンデミック前の2019年において、訪日旅行を検討している国のトップ10では、アジア各国が上位を占めていましたが、2021年には、早期に旅行規制が緩和されたアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダが上位にランクインしました。日本人に人気の渡航先としては、パンデミック前と2022年2月では、①アメリカ、②中国、③タイの上位3カ国は変わらず、現在はカナダ、ドイツ、オーストラリアの順位が上昇しています。2022年3月に入り、渡航制限緩和に伴い日本人の海外旅行予約件数は、前月比75%と上昇し、今後の伸びが期待できます。

2019年以降、アジア太平洋地域への旅行におけるブッキングウィンドウ[2]は増加しており、感染症や規制の状況を考慮しながら、旅行を慎重に検討していることが読み取れます。2021年11月に実施した主要マーケットにおける調査結果[3]によると2022年の旅行意欲は、どの国も2019年の実績を上回る結果となりました。旅行目的においては、国内旅行は多いものの、海外旅行のカテゴリー(海外休暇旅行、海外出張、海外の家族・友人訪問)においても大きく上昇しています。
コロナ禍で旅行者の旅のスタイルも変化しています。2019年と比較すると、様々なアクティビティ体験を行うより、リラックスを求める傾向があることがわかりました。旅行目的では、「家族・友人訪問」、「ビーチ旅行」、「ドライブ旅行」、「文化史跡観光」が上位ですが「アドベンチャーツーリズム」、「アウトドア」、「食体験」の人気も上昇しています。
2022年の旅行計画への障壁は、「旅費の高さ」、「不透明な先行き」、「旅行規制」です。旅行計画において重要視している点は、「旅行先の感染者数」、「到着時・帰国時に隔離がないこと」、「ワクチン接種を完了していること」が上位を占めました。世界的に感染者数が減少していても、安全・衛生対策というのは重要な要素です。

コロナ前の旅行と比較すると、旅行のキャンセル・変更の柔軟性、十分な旅行計画時間、旅行保険への加入がより重要となっています。旅行者の心理に現在の不安な状況が反映され、より慎重になっていることがわかります。また、旅行計画は長期化の兆しがあることから、早めのプロモーション開始と不確定要素の不安払拭が重要になってきています。


■コロナ禍での観光の未来を考える~長期化するコロナとの戦いを通じて~
  公益社団法人 日本観光振興協会 理事長 久保田 穣氏


旅行者の推移は、インバウンド、アウトバウンド共にコロナ影響を受け、日本国内における旅行消費額においても、2019年総額27.9兆円から2020年には11兆円へと減少しました。しかし、日本人国内旅行消費は、日帰り含め約20兆円以上の潜在ある市場規模であり、観光再開後は爆発的な需要が期待できます。訪日外国人は、約5兆円の消費規模でしたが、これを産業別輸出額と比較しますと、自動車産業の輸出が半減したことと同じ経済的損失です。これを取り戻すためには水際対策の緩和が必須です。そのために、早期に外国人観光客受け入れができるよう、日本観光振興協会としても、他機関と連携しながら取り組んでいきたいと考えています。

コロナ禍で「密を避ける」、「テレワーク、多拠点型生活で働き方の変化」「コロナ対策や稼働率低下に伴い、事業者の経営圧迫」ということが生じています。分散、テクノロジーの活用、ワーケーションの普及、高付加価値ビジネス、旅館等の再編・再生ということがキーワードとして取り組むべき方向性であり、安心・安全対策、観光インフラへの整備が必要です。

これら新しい行動様式に備えた観光として、大きく4つあります。
1.    観光産業の強靭化:経済力による施設改善、高付加価値対応といった新しいビジネス展開
2.    観光インフラの整備・投資:多言語化対応、景観・環境整備、宿泊施設の高度化
3.    安心な観光地づくり:危機管理体制づくりや医療機関との連携、地域住民の理解形成
4.    分散化・高付加価値化:ワーケーション、アドベンチャーツーリズム、滞在型コンテンツの開発


「住んでよし、訪れてよし、受け入れてよし」の三方よしの考え方がサステナブル・ツーリズム、持続可能な観光づくりにつながる本質です。このような観点で、各地域、各企業ができることに取り組んでいくことを期待します。


■旅が持つ変革と回復の力
  日本航空株式会社CXデータマーケティング部 部長 光益彰氏


ニューノーマル下の旅行においては、渡航準備、旅行中の安全対策といったことに対して、不安要素をいかに軽減するかが重要です。そのために、日本航空ではお客様の安全安心を第一に取り組んでいます。例えば、外部評価システムの活用、わかりやすい安全安心の訴求、テクノロジーを活用した非接触(顔認証技術やアバターロボットによるお客様誘導)、新型コロナ感染症デジタル証明書アプリVeriFLYなどITツールといったことが挙げられます。

IT技術が進化する中で、旅行自体もバーチャル化という考え方もありますが、旅行のきっかけや旅行欲求を高める効果はあるものの、デジタルでは得られないことは多く、リアルな旅の体験に優るものはありません。そのために、旅先でどんな体験を提供できるのかが重要なポイントです。

日本航空では、旅の魅力を訴求するには、ウェブサイト、eDM、SNSから情報を発信するというプール型のマーケティング手法をとっています。具体的には、どんな体験ができるのかという過ごし方のモデルプランを提案し、文化、歴史、芸術、食などジャンルを細分化したコンテンツの充実化を図っています。
渡航先への動機付けを行うためには、プッシュ型マーケティングも活用しています。

講演のテーマである「旅がもつ変革と回復の力」にもあるように今後のツーリズムにおいては、変革と回復がキーワードです。旅は、「自分の経験が豊かになる」、「旅先の社会に貢献する」、「地球環境を意識した旅行を考える」ものです。旅行には変革の力、回復の力があります。旅行のよい体験とウェルビーイング(人生の満足度)は、5つの項目(①明るい感情、②物事への積極的な関わり、③他者との関係、④生きる意義と自覚、⑤達成感)において強い相関関係にあります。

サステナビリティも重要ですが、これは、環境のサステナビリティではなく、二分法的な物事捉え方からの脱却を指します。「GDP成長orウェルビーイングの成長」、「リベラルな改革or保守派」、「航空輸送or地球環境」「ゼロコロナor経済活動」、これらどちらか一方ではなく両立させていくことが重要であり、それにより旅を通して、変革と回復の力を発揮することができます。

登壇者プロフィール:https://sites.google.com/view/tripadvisorjapantourism/speakers


出典:
[1] 2019年1月~2022年1月のTripadvisorによる内部データより算出
[2] 個人旅行や団体旅行による予約日から実際の到着日までの期間
[3] Tripadvisor & Ipsos Mori Travelが実施した調査「2022年の旅行動向:今後の展望」:2021年11月1日から6日の期間、オーストラリア、日本、シンガポール、イギリス、アメリカで実施。合計10,390名から回答
詳細:https://www.tripadvisor.jp/Articles-lZkLoyogp7bk-Travel_in_2022_jp.html
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