サステナブルな社会の実現に向けSDGs推進が加速している現在、経済活動についても、大量生産・大量消費型の“リニアエコノミー(線形経済)”から、“サーキュラーエコノミー(循環経済)”へと移行していく必要があります。
“サーキュラーエコノミー(循環経済)”とは、従来の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動を指し、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものです。
※参照:環境省「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」>状況>第1部>第2章>第2節 循環経済への移行
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/html/hj21010202.html
コロナ禍やウクライナ情勢に加え、歴史的な円安の影響を受けている日本経済ですから、企業にとってサーキュラーエコノミーへの移行は喫緊の課題と言っても過言ではないでしょう。
では、事業会社はサーキュラーエコノミーへの移行に向けてどのような取り組みを行っているのでしょうか。
そこで今回、
業務用厨房機・揚げカス搾り機『エコリオ』(
https://ecolio.co.jp/products/)の製造メーカー
株式会社エコリオ(
https://ecolio.co.jp/)は、事業会社の経営者 ・会社員を対象に、「
サーキュラーエコノミー(循環経済)」に関する調査を実施しました。
【サーキュラーエコノミーの認知度】役職によって認知度には大きな差がある現状
はじめに、サーキュラーエコノミーの認知度について調査しました。
「“サーキュラーエコノミー(循環経済)”をご存じですか?」と質問したところ、企業の先頭に立つ経営者、そして最前線である現場に近い課長クラス、主任・係長、一般社員は『知らない』が過半数を占め、中でも一般社員は7割を超えて圧倒的に多い実態が浮き彫りとなりました。
【サーキュラーエコノミーの3原則】企業の取り組み状況
“サーキュラーエコノミー”と掲げていなくとも、企業として既に取り組んでいることもあるでしょう。
サーキュラーエコノミーの推進団体である英エレンマッカーサー財団では、
・Design out waste and pollution:廃棄物・汚染などを出さない(取り除く)設計
・Keep products and materials in use:製品や資源を高い価値を保ったまま使い続ける
・Regenerate natural systems:自然のシステムを再生する
という3つのサーキュラーエコノミー原則を掲げており、企業ののCircularity(循環性)評価のための枠組み「Circulytics」では、いずれか1つ以上に該当し、かつ他の2つに逆行しないこととしています。
※参照:経済産業省「循環型の事業活動の類型について」>2-3)類型化に関する既存事例②:エレンマッカーサー財団(英)
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/ce_finance/pdf/002_04_02.pdf
では、経営する(所属する)企業の取り組みは、この3つの原則のどれに近いのでしょうか。
「サーキュラーエコノミーの3つの原則の中で、貴社としての取り組みに最も近いものを選んでください」と質問したところ、『Design out waste and pollution:廃棄物・汚染などを出さない(取り除く)設計(14.8%)』『Keep products and materials in use:製品や資源を高い価値を保ったまま使い続ける(14.2%)』『Regenerate natural systems:自然のシステムを再生する(8.4%)』『取り組みを行っていない(34.9%)』『どれが近しいものか分からない(27.7%)』という結果となりました。
3つの原則の中では、『廃棄物・汚染などを出さない(取り除く)設計』『製品や資源を高い価値を保ったまま使い続ける』が比較的多いようですが、サーキュラーエコノミーへの移行に向けた取り組み自体まだ行っていない企業も3割を超えることが明らかになりました。
取り組んでいる企業は、この3つの原則に対して具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。
■サーキュラーエコノミーの3つの原則に対する取り組み
【Design out waste and pollution:廃棄物・汚染などを出さない(取り除く)設計】
・食糧廃棄物についてバイオマス発電事業を行っている(30代/経営者/福岡県)
・サプライチェーン全体を通じての廃棄物の削減、リサイクル・リユースの促進ならびにそれらに関する技術開発など(60代/部長クラス/東京都)
・生産現場ではリユース素材を使用した製品の生産及び大気中に有害とされるフルオロカーボン類の使用禁止、超音波洗浄を利用した人体にも自然環境にも配慮した取り組みを行っている(60代/経営者/愛知県)
【Keep products and materials in use:製品や資源を高い価値を保ったまま使い続ける】
・再利用可能なエネルギー転換(30代/役員/千葉県)
・定期的なメンテナンスを行い、できるだけ製品寿命を延ばし、使用し続けるようにしている(30代/経営者/神奈川県)
・質の高い製品を提供し、商品の長寿命化を図っている(50代/主任・係長/大阪府)
【Regenerate natural systems:自然のシステムを再生する】
・お米の生産販売を行っており、生産の過程で出る稲藁や籾殻、粉糠を堆肥化し土壌へ還元している(30代/役員/岐阜県)
・弊社グループ企業で再生資源循環プラットフォームの実証実験などを実施(40代/経営者/神奈川県)
・再生エネルギーループの活用(50代/課長クラス/新潟県)
【サーキュラーエコノミーへの移行に向けて】今後必要な取り組みと懸念事項
では、サーキュラーエコノミーについて、今後企業としてどのような取り組みが必要なのでしょうか。
「サーキュラーエコノミーについて、今後企業として行う必要があると考えている取り組みはありますか?」と質問したところ、『ない(59.4%)』と6割近くの方が特にないと思っている実態が浮き彫りとなりました。
一方、『ある』と回答した方は、具体的にどのような取り組みを行う必要があると考えているのでしょうか。
■サーキュラーエコノミーについて、今後企業として行うべき取り組み
・省エネ製品の使用、自然循環エネルギーでの企業活動(30代/経営者/神奈川県)
・リサイクル、リユース。フェアトレードに基づく商業契約(50代/役員/埼玉県)
・環境保護の意識を醸成する(50代/経営者/宮崎県)
サーキュラーエコノミーへ移行するには、廃棄物削減や資源の再利用などの取り組みはもちろん、従業員個々の意識も重要なファクターといえそうです。
取り組んでいくうえではさまざまな課題に直面することも予想できますが、現時点でどのような課題や懸念を想定しているのでしょうか。
■サーキュラーエコノミーについての取り組みで想定される課題や懸念点とは?
・やはり意識改革(30代/役員/千葉県)
・費用対効果の観点からあまりコストをかけずに行うにはどうすれば良いか(30代/経営者/神奈川県)
・再利用することで品質をどのように担保していくかが課題(50代/主任・係長/滋賀県)