ある日、新聞で見つけた「寝具から始めるSDGs」という見出し。
寝具とSDGsになんの関係が? SDGs関連の記事は年々よく見かけるようになったけれど、そもそもわかったようでSDGsにはモヤモヤしてしまうことも少なくない。
謎解きに挑むような思いで記事を読むと、眠りが浅く、腰痛に悩む料理研究家が寝心地のいいマットレスに出会ったという内容。マットレスはイタリアの寝具ブランドが開発したもので、金属バネやプラスチックは不使用。製造工程から輸送や廃棄についての企業の取り組みが書かれており、ようするに環境に優しいのね、ということがわかる。その時は感心してみるものの、だからといってわたし自身がSDGsに関心が持てるかというと、実のところちょっと微妙で、やっぱりモヤモヤする。なぜだろう。
思えば、3つの英単語を略した4つのアルファベット。正直、わたしの中でどうもなじんでいなかった。世の中にはアルファベット4文字の組み合わせがたくさんあるし、それで言うなら、思わず口ずさんでしまう4文字ソングなんかもあったよね。YMCAとか、PPAPとか。啓蒙ソングのようなものがあったら、もしかして親しみがわくのかも?
もっとSDGsとの距離を縮めるにはどうしたら? 友だちに接するみたいに、なにか愛称があればいいのかも。そんなわけで、親しみを込めて、今日からわたしは「SDGs」を”ジーズ”と呼ぶことにするよ。ほんとに勝手ながら。
さて。マットレスとジーズの話の続き。
快適な寝心地や質の高い睡眠をとるための寝具選びはとても大切だよね。どうしたって寝心地最優先でマットレスを選ぶから、いつか手放すであろう日のことなどこれっぽっちも頭をかすめない。
睡眠が浅い日も深い日も、眠れぬ夜も二度寝した朝もわたしの身体を受け止めてくれるマットレスに聞いてみたい。仮に、いまわたしが何年も使い込んだマットレスを処分することになったとして、「キミは果たしてリサイクル可能なのか、リユースに値するのか。ジーズの仲間入りできるのか、どっちなんだい?」と。
無論、答えはないのだけれど、その日からマットレスを見る目がジーズ寄りに変わった気がするのでした。