試飲や試食が伴うイベントにつきものの容器類には使い捨てのイメージが強かった。手際よく数をさばく催事会場でならなおのこと。試飲用カップや試食皿、スプーン、フォークなど、再利用することはまれで、それが当たり前のよくある風景だった。
ジーズの意識からなのか、近ごろ、使い捨てるモノや行為に「待て!」を唱える動きも増えているのかなと感じる場面に出くわす。もしかすると今まで自分が気づいていなかっただけで、ジーズ以前からジーズ意識の高い人は「その使い捨て、ちょっと待って!」と発していたのかもしれない。こういうところで意識の高低差に直面したりするジーズな日々。
過日、紙パック飲料を冷凍し、氷菓として楽しむイベントのプレビューに足を運んだ。これからやってくる暑い夏を乗り切ろうと"豆乳アイスシャリシャリ化計画"なる情報配信もしていて、数年前からSNSを中心に盛り上がっているという。
会場ではカッチカチに凍らせた紙パック飲料と一緒にステンレス製のスプーンが配られた。いざ食べようとするも、あまりの硬さにステンレスのスプーンをもってしても歯が立たない。「スプーン曲がっちゃいますよ、これ。マジシャンじゃないけど曲げちゃいますよ」と、ぼやきたくなるほどの硬さだ。この手のイベントなら、使い捨てスプーンを使いそうなものだが、カッチカチに凍った中身はステンレス製のスプーンでないとさすがに食べづらいのだろう。
にしても、新幹線の車内販売のかのアイスだって、ここまで硬くはなかったよねと恨みながら、カッチカチのそれと格闘すること数分。少しずつシャリシャリ感が出て、シャーベット状になり、ここまでくればステンレスじゃなくても平気なんだけど、プラスチックのスプーンより、こっちで食べる方がやはり気分がいい。
さて、使い終わったスプーンの行方はというと、回収し、洗浄して再利用するという。ほかにも、アイスドリンクには紙ストローが用意されていた。これらはプラスチックごみを削減するジーズな取り組みにほかならず、単に硬くて食べづらいからステンレス製というわけでもないみたい。
そんなわけで、使い捨てじゃないスプーン片手に、カッチカチに氷化したターゲットと向き合い、ぼやき、格闘しながらジーズな波を感じたのだった。