「柴又に行ってきたのよ」と、ご近所づきあいのあるお隣りさんから柴又名物の草もちをいただいた。知り合いが営んでいるお店があって、おつきあいで買ったはいいが日持ちしないし、食べきれないのでよかったらと、小分けしたものをラップに包んで渡してくれた。
甘いおすそ分けに預かりながら、これはもしかして、フードロス、いや、草もちロス削減に一役買ってる? 食べきれなくて固くなって捨てられてしまうかもしれない草もちを救ってる?
いやはや、最近のわたしはどうしたものか、身近なフードロスに敏感で、食べものを捨てたらもったいない、残したらいけないと、フードロス削減脳に冒されている。これもフードロスだ、あれもフードロスだと、わたしの生活の中にフードロスが生じようものなら、黙っちゃいられない! というところまでではないのだけれど、ジーズ意識の高い人に会う機会が増えたことが要因かもしれない、察するに。
閑話休題。
草もちさん、ではなく、お隣りさんの話の続き。お隣さんを仮にTさんとしておく。
Tさんが柴又に行った時のこと。
柴又帝釈天の、確か参道近くだったと聞いたが、公衆トイレの便座がとても温かくて驚いたという。
「この猛暑のさなか、省エネ、節電に協力するよう言われているのに、こんなに便座の温度を高くする必要があるのかしら」と、いまにも電気の負荷率を叩き出しそうな勢いでおっしゃる。
Tさんはすぐにトイレ付近のお店にその旨を伝えると、参道の商店街を取りまとめている組合にすぐになんらかの対処をしてもらうと言われ、速やかで前向きな対応に好感を持ったそう。
さらに便座トークは続く。
駅ビル併設の図書館のトイレでも同じようなことがあり、「寒い時期ならともかく」と前置きをつけて、図書館スタッフに便座の温度について聞いたところ、そういったことはすべてビルの管理会社に委ねているからと、その先は取り合ってくれない印象。
便座ヒーターの温度設定や操作は管理する先によって対応が異なるのは理解できても、後者の対応には納得がいかない様子だった。
トイレの便座ヒーターの温度しかり、冷暖房の温度しかり、感じ方に個人差はあるだろうけれど、わたしは草もちを手にしたまま、Tさんの便座ヒーター温めますか問題提起に耳を傾け、Tさんの節電意識、ひいてはジーズ意識の高さを知ることとなった。
ちなみに我が家の便座ヒーターの温度は、おおよそ衣替えに合わせるように微妙に変わる。これは家人のしわざというか、なにげにジーズ意識からくるもので、なんの予告もなく温度変更されるため、突然のことでお尻は驚くけれど、わたし自身は今のところ、その温度設定に不満も疑問も抱かない。
さて、Tさんはどうだろうか?
今回の便座の件に限らず、言うか言うまいかのアクションに賛否あれど、みんなが”小さな行動を心がけること”が、きっとジーズの本質で、ジーズな日常につながっていくのかも。