FEATURE

線状降水帯

線状降水帯

行動の10年

行動の10年

ムーンショット

ムーンショット

SDGsの達成は、豊かな多様性があってこそ。

「プラごみゼロ」のロゴマーク。亀岡市民と考案。

「プラごみゼロ」のロゴマーク。亀岡市民と考案。

保津川下りで知られる保津川では、多くのボランティアが清掃活動を行っています。豊かな自然を守るために、地域が一体となって取り組んでいます。ここで、「SDGsの眼鏡」をかけてみましょう。

そもそもプラスチックごみが川に落ちている原因は、市内のスーパーやコンビニエンスストアで使い捨てのレジ袋やプラスチック容器が使われていることにもあります。ならば、その使用をやめればプラスチックごみは発生しないし、川もきれいになるはずだという視点を持ってつくられ、今年1月に全国で初めて施行されたのが、亀岡市の「プラスチック製レジ袋提供禁止条例」です。桂川孝裕市長は、「施行後、98パーセントの市民がマイバッグ持参で買い物をするようになり、レジ袋はほぼすべての店舗で使用されていません」と話します。さらに、「保津川のレジ袋関連のごみも減ったので、今後はペットボトルの使用削減にも取り組みたいです」と言います。

ペットボトル使用削減の動きは、SDGs未来都市に選定されている亀岡市をはじめ、企業と連携しながら広がっていくと思われますが、その一方で、SDGsの理念として掲げられている「誰一人取り残さない」という考え方も忘れてはいけません。

ペットボトルの使用をやめると環境にはいい影響を及ぼすでしょう。ただ、ペットボトル関連の企業の雇用についても考えなければなりません。その考えは、目標8「働きがいも経済成長も」に該当するかもしれません。そこで、企業、小売業者、消費者、行政などペットボトルの製造や使用などに関係するステークホルダーが集まって議論を重ね、納得できる理想の形を見出すことが重要になります。立場や考えの異なる人たちが、同じ土俵で対話するための共通の枠組みとして、SDGsを活用してほしいと思います。

そんなふうに、一つの目標達成のために始めた取り組みが、ほかの目標にはマイナスの影響を及ぼしてしまうことが、SDGsでは往々にして起こり得ます。これは「トレードオフ」と呼ばれていますが、そんな場合もステークホルダー同士で議論し合うことが重要な解決方法になると思っています。

なぜなら、SDGsは完全なものではないからです。例えば、目標5は「ジェンダー平等を実現しよう」と謳い、男女の格差についてはターゲットにも書かれていますが、LGBTQの権利は書かれていません。「すべての人に平等を」という表現でカバーしているのかもしれませんが、LGBTQという単語そのものは書かれていないのです。不十分な気もします。

最初の「SDGs?」の章で、SDGsは目標が壮大過ぎて、自分とは無関係だと思っている人に向けて、グローバルな課題を自分に身近な課題に「翻訳」すればいいと言いました。それは、SDGsのローカライズです。ただ、翻訳するだけではなく、自分たちに必要なものは何か、自分たちで考えて、SDGsを主体的に活用しながらアウトプットを導き出す。それによって、自分たちの生活に何かよい変化が起こる。それが、SDGsのローカライズと言えるのではないでしょうか。

持続可能な開発は、豊かな多様性があってこそ実現できるものと私は考えています。ソーシャル・インクルージョンという考え方もSDGsのキーワードの一つと言えるのではないでしょうか。日本は人口減少社会を迎えていますが、そんな時代に、高齢者、女性、障害者、外国人といった弱い立場に置かれてしまいがちな多様な人たちが社会の一員としてインクルージョンしていける。そうした世の中をつくっていくためにも、SDGsを主体的に活用していくことを期待しています。


■高木さんの社会のキーワード

プラスチック製レジ袋提供禁止条例

プラスチック製レジ袋提供禁止条例

SDGs未来都市

SDGs未来都市

トレードオフ

トレードオフ

LGBTQ

LGBTQ

ソーシャル・インクルージョン

ソーシャル・インクルージョン

photographs by Hiroshi Takaoka  text by Kentaro Matsui

記事は雑誌ソトコト2021年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
29 件
〈 2 / 2 〉

RECOMMEND

Tags

トップへ戻る