2015年9月、ニューヨークの国連本部で、世界193の加盟国によって採択された「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」。これはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、「誰ひとり取り残さない(Leave No One Behind)」という理念のもと、2030年までに持続可能でよりよい社会を実現するための国際目標です。前身となる「MDGs(ミレニアム開発目標)」が主に途上国支援を中心としていたのに対し、SDGsはすべての国・すべての人を対象とし、環境・経済・社会のバランスを取った包括的な目標として位置づけられています。
17の目標と169のターゲット
SDGsは、大きく17のゴールと169のターゲットから構成されています。その内容は地球規模の課題を網羅的にカバーしており、貧困、教育、ジェンダー、環境、平和など多様な分野にわたります。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
これらの目標は相互に関係し合うシステムとして設計されています。たとえば「貧困をなくす」ことは「教育」や「雇用機会」と密接に関係し、「気候変動対策」は「エネルギー」や「まちづくり」にも影響します。一つの課題を解決することが他の課題の前進にもつながる——それがSDGsの大きな特徴です。
なぜSDGsが必要なのか
21世紀に入り、気候変動や資源の枯渇、格差拡大、ジェンダー不平等など、地球規模の課題は複雑化しています。これらは国境を越えて影響し合う問題であり、単一の国や組織では解決できません。こうした現実を踏まえ、国連は「経済成長・社会的包摂・環境保全」の3つを軸に、国・企業・市民が協働して取り組むための共通言語としてSDGsを掲げました。
日本におけるSDGsの取り組み
日本では2016年に「SDGs推進本部」が設置され、政府・自治体・企業・教育機関が連携した取り組みが進められています。企業の間では、経営戦略にSDGsを取り入れる「ESG経営」や「サステナビリティ経営」が広がり、再生可能エネルギー導入、サプライチェーンの透明化、女性活躍推進などが加速しています。また、地方自治体では「SDGs未来都市」や「ローカルSDGs」の取り組みが増え、地域の特性を生かしたまちづくりや観光振興、環境保全が進行中です。教育現場でも、持続可能な社会づくりを学ぶ「ESD(Education for Sustainable Development)」が広がりつつあります。
いま、個人にできること
SDGsの達成には、行政や企業だけでなく、一人ひとりの行動が欠かせません。マイボトルやエコバッグを使う(目標12:つくる責任 つかう責任)、フェアトレード商品を選ぶ(目標8・10)、電気や水の無駄遣いを減らす(目標7・13)、地域のボランティアに参加する(目標11・17)——こうした日常の小さな選択が、SDGsの実現に直結します。大切なのは、完璧を目指すことではなく、自分ごととして意識し、行動を続けることです。
2030年、その先へ
SDGsのゴールである2030年まで、残された時間は限られています。しかし、持続可能な社会づくりは2030年で終わるものではありません。その先の未来に向けて、私たちがどんな選択を積み重ねるかが問われています。SDGsは「世界の約束」であり、同時に「私たち一人ひとりの生き方の指針」です。社会の変化は、日常の中の小さな気づきと行動から生まれる。2030年の未来をより良い形で迎えるために、“持続可能な暮らし方”を今日からもう一度見つめ直してみたい。

