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ソトコト広報室

2021.12.17

[ソトコトSDGsアワード2021]ファッションに新たな選択肢を提案。 町工場×百貨店によるリサイクルデニム再生プロジェクトが動き出す。


東京の下町の工場に運び込まれた大量の古着のデニム、そのすべてが「リーバイス®501®」。その量約20トン、股が破れたものや油汚れにまみれたデニムを、一つずつ丁寧に時間をかけて洗浄すると見違えるような風合いの生地が現れます。

古着として引き取り手がなかったデニムの再利用を目指す小さな町工場と大手百貨店・三越伊勢丹が中心となり、小売各社やデザイナー・クリエイターをつなぐプロジェクト。他百貨店やデザイナーを巻き込んだ壮大な「デニム de ミライ~DENIM PROJECT~(以下、デニムプロジェクト)」が来春始動します。

約50のブランドとクリエイター、学生らが賛同し、ファッション業界にサスティナブルな風を吹き込む三越伊勢丹の試みが「ソトコトSDGsアワード2021」に選ばれました。

プロジェクトを手がける伊勢丹新宿店の婦人服自主編集売場リ・スタイル バイヤーの神谷将太氏と町工場ヤマサワプレス(足立区)代表取締役の山澤亮治氏に、試みの目的や意義、今後の展望などについてお聞きしました。

“サスティナブル”なストーリーにフォーカス。活用の幅は無限大。

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左:株式会社三越伊勢丹 伊勢丹新宿店 リ・スタイル バイヤー 神谷将太氏
右:株式会社ヤマサワプレス 代表取締役 山澤 亮治氏

ソトコトNEWS 「デニムプロジェクト」の活動内容や目指すビジョンなどについて教えてください。


㈱三越伊勢丹 神谷将太(以下、神谷) 「デニムプロジェクト」では2022年3月に伊勢丹新宿店をはじめ、阪急など他百貨店やセレクトショップなどでデニムをアップサイクルした商品の販売を予定しています。
現時点で50社ほどの参加が決まっていて、ほとんどのブランドの商品サンプルが出来上がってきております。

まだ販売はスタートしていない状態ですが、このように注目頂いていることはありがたいことですね。商品そのものというより、ストーリー性や取り組み全体に対して評価していただけたことが何よりも嬉しい。ヤマサワプレスさんも含め、関わる多くの方とともに、この受賞を喜びたいです。
まだまだプロジェクトは道半ばですが、すべての商品が完成され、店頭に並ぶときを創造すると期待でワクワクしています。
再利用されるデニム生地は、洋服にこだわらず家具やアートなど幅広い分野に取り入れております。


そしてこのプロジェクトでは環境面だけではなく、ファッション文化の持続可能性などにも貢献したいと考えています。
「環境に良いから着る」というよりは、「長い時間をかけてファッションと付き合いながら、広い視点での繫がりを楽しみませんか?」というコミュニケーションを山澤社長やデザイナー、そしてお客さまと一緒になって創っていきたいですね。

確かな技術と熱い想いでよみがえったデニム生地。 バイヤーとしての直感が反応した

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コンテナーで送られてきた大量のユーズドストックのリーバ...

コンテナーで送られてきた大量のユーズドストックのリーバイス®501®をひとつひとつ確認しながらA~C 3段階の状態別に分けていきます。

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ソトコトNEWS
 プロジェクト始動のきっかけは何だったのでしょうか?


神谷 昨年の9月ごろ、知り合いのファッション関係の方から「竹ノ塚に面白いものがあるから、1回来てみない?」と誘われたのがきっかけですね。ふらっと立ち寄ってみたら、山積みになったデニムが。まず、その量に驚きました。そしていろいろなものが混じり合ったような古着独特の臭い。

正直、最初は汚れなどもあり、使い道が想像できなかったんです。内心、不安になりましたが、ヤマサワプレスさんの丁寧なクリーニングと補修によってよみがえった生地は全くの別物でした。美しい生地をひと目見て『素材として使える』と直感しました。
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㈱ヤマサワプレス 山澤亮治(以下、山澤)
 私たちは、アパレル製品のアイロン仕上げや検品などを主に、下請け工場として26年携わってきました。
その中で、「試着の段階で口紅が付いた」「試し履きで汚れた」などの些細な理由で商品が廃棄される光景を目のあたりにしてきました。この問題は、長年、アパレル産業の大きな課題だと感じていました。
だからこそ「僕らの技術できれいにして、もう一度お店に並べられないだろうか。」という思いで、古着の洗浄などの取り組みを続けてきました。

2019年ロサンゼルスへ旅行に行った際に、仕入れ業者から買い手がつかないユーズドストック(※)
リーバイス®501®の話を聞き、私自身がもともと古着好きということもあり、いてもたってもいられず日本に戻ってきてから購入を決めました。

まず、衝撃を受けたのは長年蓄積された強い臭い。そして、エンジンオイルやペンキなどの汚れ、太ももより下の部分しかない大量のパーツ生地…。
どれもひどい状態でしたが「何とかしたい」という思いでした。気づけば後先考えず、どうやって持ち帰るかを古着業者と相談していました。
手作業で1本1本、洗剤に付け置きしてからブラシで叩いて汚れを落とす。洗濯機にかけて落ちるような汚れじゃありません。本当に地道な作業です。
洗い上がった生地を神谷さんが見に来てくれて「この生地を、生まれ変わらせることができます」と仰っていただき、本当に嬉しかった。一気に話が盛り上がりました。


神谷 ものを買うきっかけは可愛い、カッコいいなどの純粋な高揚感ですよね。バイヤーという仕事はものづくりを仕掛ける側ですから「サステナブルだから買ってください」ではなく、百貨店として純粋にファッションの楽しさをお客さまに伝えていきたいんです。
よみがえったデニム生地と出会った時、純粋に素材としても、取り組みとしても素晴らしいと感じました。


山澤 1番嬉しい言葉ですよね。そう言ってもらえるようにずっと取り組んできましたから。


※ユーズドストック:着用されたデニムパンツ・デニム生地
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