ソトコトNEWS コロナ禍で売上減などの影響もあった一方で、新たな動きも生まれたとお聞きしました。どのような変化がありましたか?
時松 「必然のニラ醤油」は店舗で使用する「ニラ」のロス(茎)が原材料となっているため、製造は店舗の集客に大きく左右されます。そこで新たに開発したのが、ニラの茎から葉まで全てを使った「みんなのニラ醤油」です。
当時、休業・時短営業する飲食店が多く、本来消費される予定だった地域のニラの大半が行く先を失っていました。ならば葉も茎もまるごと使って地域に貢献できないかと考えました。すると、近隣の農家からも「うちのニラも使ってほしい」と声が寄せられ、県の協力を得る形で新商品が完成しました。大分のみんなで作り上げたため、商品名は「みんなのニラ醤油」と名づけました。そのほか、辛麺屋だけに辛さを追求した「辛のニラ醤油」も新たに開発し、3種類の商品を詰め合わせたセットは贈答用としても活用されています。
ニラ醤油シリーズは、大分市の地域資源を主原料にした魅力ある加工品を認証する「大分市ブランド認証」を取得し、県外でも販売されているほか、大分市ふるさと納税返礼品にも登録されています。
現在では月に4,000本を製造し、累計出荷数は20,000本を超えています。新工場が完成して製造体制が整ってから、店舗でのニラの廃棄量はゼロになりました。現在は東京都内のスーパーなどでも販売されるようになり、私自ら店頭で試食販売に立つこともあります。
ソトコトNEWS 店舗でのフードロスの有効活用からスタートし、今では地域に貢献する商品が生まれました。今後取り組みたいことや、展望を教えてください。
時松 開発に着手し始めた頃、ここまでニラ醤油がたくさんのお客様に受け入れられるとは思ってもいませんでした。決して高級な野菜ではない「ニラ」。誰もが知ってる「ニラ」。何も考えずに捨てていた「ニラ」。今ではさまざまな可能性を秘める「夢」に変わりました。これからも「食」である限り、品質を第一に考え、他に類をみない「ニラ」を主軸とした商品の開発や販路も拡大していきます。具体的には、一般消費者向けのほかにも、飲食店などの卸・業務用商品やOEMなどです。ニラ醤油はさまざまな料理にアレンジが可能なので、メニュー開発もあわせて提案できるのが私たちの強みです。将来的には海外にも販路を拡大して、海外のお客様にも大分産ニラのおいしさを知っていただきたいと考えています。
「ニラには捨てるとこなし」、「ニラのように力強く生きる」、「ニラ、海を渡る」。
「当たり前」に捨てられてたものが「偶然」生まれ変わり、「必然」だったと気付かされました。 今までの「当たり前」は、もう「当たり前」じゃないのだな、と。
新しいことをするのではなく、忘れていたもの、捨てていたものを拾い上げ、自分で考え、手を加え、本来持っている価値を高めていく。これこそが、アップサイクルだと思います。これからも、僕らの心、気持ち、考えもアップサイクルしていきたいと思います。
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